こんにちは、さだぢです。
定期的にこういう系の話が某スレに上がり、それを見ると思い出す…。
なんのためにデッサンするのか…
永遠に議論されてるテーマやなぁと。
俺も色々考えてたなぁと。
デッサンは超重要だと思ってアホみたいにデッサンの訓練して力を欲してた時期があったり…。
アレ?デッサンいらなくね?と悟ってまったくやらない時期があったり…。
で!
悩みながら右往左往しながらも両方の考えを持ってしまったが故に軸がブレブレになった自分のデッサンに対する考えを書こうと思います。
ちなみに俺は藝大目指して半ばで挫折したんですが、目指してた頃には石膏デッサンを来る日も来る日も描いてました( ´༎ຶㅂ༎ຶ`)
この手の話すると「そもそもデッサンとはなんぞや」と言う流れになり大体荒れますがデッサンは「インプットしたものをアウトプットする行為」の精度を高めるための訓練だと思ってます。
美術や学問といったデッサンもありますがここでは練習、訓練の意味合いな
目次
デッサンはきょうせいギプスを手に入れるためにやる
ポケモン、好きですか?
あ、興味ない…そうすか…。
俺はポケモンが好きなんですが、デッサンの効果を説明するのにちょうどいい道具がポケモンのゲーム中にあるんですよ。
道具:きょうせいギブス
効果:ポケモンに持たせるとすばやさが半分になるが、戦闘でもらえる努力値が2倍になる。
.。o0(ポケモンとか努力値とか全然わからない人でも効果を見たらなんとなく分かってくれることを願いつつ…)
このきょうせいギブスの効果をデッサンに置き換える
- 例えばすでに描きたいジャンルの絵(萌え絵、アニメ絵等)があるけどその時点で描きたい絵を描くよりデッサンによる訓練を優先(これがすばやさ半分に相当)
- 訓練の結果普通より絵が上手くなりやすい状態になる(これがもらえる努力値が2倍に相当、他のゲームで言うなら経験値2倍の強化魔法がかかってる状態)
になることじゃないかなぁと思います。
デッサンを通して身につける能力の一つは、習得に時間はかかるけど絵を学び上達する上での学習能力が高くなっている状態を手に入れることではないかと思うのです。
絵が上手い人は漏れなく読み取り能力が高い
読み取り能力とは
コナンみたいな探偵スキルちゃうぞ?
デッサンではこの読み取り能力を鍛えることができます。
読み取りはデッサンする上で言い換えるなら「よく見る、観察する」ことで、一見誰にでもできるし誰もがやってると思われがちですがほとんどの人は見てない。
実際には見てるのでなく、思い込みで描いてるんだけど見て描いたつもりになってると思います。
いやマジで
例えば目の前にバナナがあってバナナを描いてくださいって言われた場合、ほとんどの人は目の前のバナナを見ないで自分の知ってるバナナのなんとなくのイメージで描いてて…。
実際はイメージに基づいて描いてるんですが、見て描いたと思い込んでる。
まずこれを正しく認識するところから始まります(´◉◞౪◟◉)
「よく見る、観察する」って色んな視点から意識的に情報を読み取る行為だけど最初は慣れてないのでその視点を持ってないのよ。
デッサンができない人、絵の下手な人の観察って
- 「バナナ」
- 「黄色」
- 「3本生えてる」
- 「黒い斑点がある」
っていうレベルですら適当で読み取ってる上に情報量が圧倒的に少なくて、しかも読み取りが曖昧なので読み取った情報以上の絵にはならなくて絵もモヤっとしてます。
慣れてないので見る、観察どころではなく描くことでいっぱいいっぱいで色写し形写しで終わり得られる経験値も少ない(;´Д`)
デッサンによってこの読み取りの精度を高くすることができるんですが、読み取りの精度を高めることは実際に観察する対象と自分が対象を見ていると思い込んで認識したイメージとの誤差を小さくするイメージがわかりやすいかなぁと思います。
読み取り能力を鍛えると…?
で!
訓練を積み…。
と言った具合に意識的に情報を読み取ることに慣れてくると、
- 「バナナのヘタにうっすら緑味がある」
- 「ヘタの形が岩石みたい」
- 「傷付いた角が黒く汚れてるな」
- 「おいしそうな色合いしてるがもう少し熟すのを待とう」
- 「反り具合が最高」
- 「黒人サイズかな?」
といった具合に読み取れる情報量も増え、具体的になり描くことで得られる経験値も増えてくる。
そして読み取りの精度が上がると曖昧なイメージではなく観察によって得られた一次情報が蓄積され、要領よくさらに多く読み取れるようになる。
すると、例えばバナナの情報以外にも、
- 「視点は俯瞰か煽りか」
- 「光源は何なのか」
- 「影は落ちてるのか」
- 「空間的に手前にあるのか奥にあるのか」
等々、目の前にあるバナナを描こうと思ったときバナナを取り巻く森羅万象も意識して読み取れるようになって得られる経験値がボーナスステージに突入します。
描く力と読み取る力はセット
言い換えるなら「思い描いた通りに描く力」です。
例えば球を描こうと思って球が描けるか、円柱を描こうと思って円柱が描けるかっていうシンプルな能力のことです。
陰影や空間や立体、質感といった三次元的なものを二次元に表現する力や自分の思った通りの形に描く等のいわゆる画力に当たる部分です。
美術系の人はインプット行為をデッサンと指して、漫画やイラスト系の人がアウトプット行為をデッサンって指してる気がします。
描く力の精度を高めることは、実際に描いたものと自分が描こうと思ったイメージとの誤差を小さくするイメージがわかりやすいかなぁと思います。
簡単な例で言えば
- 正円を描く
- 線を丁寧に描く
- 丁寧に塗る
といった基本的な所作から
- 立体的な球を立体的見えるように描く
- パースのある空間をパースが分かるよう描く
- 金属の物質を金属の物質に見えるように描く
- 可愛い顔を可愛く描く
といった表現しようと思ったものを思い描いた通りに描く能力のことです。
初心者で絵が上手くなりたくて練習してる人は読み取りのことはそっちのけで完全に描くことしか意識してない人が多くて、いわゆる思考停止でも絵を描けば上手くなると思ってる状態です。何年も絵を描いてるけど全然上手くならない人っていると思いますが、それはインプットしないでアウトプットだけしているからだと思います。
それを続けても綺麗な線や丁寧な塗りができるようにはなってもこなれるだけで上達しない…(´-ω-`)
この描く能力は読み取ったものを高い精度で出力できるようになって「汎用性のある描く力」になると俺は思ってます。
デッサンを機械みたいにトレースする能力だと思ってる人もいますが、そうではなく汎用性のある描く力を磨くことができる訓練かなぁと俺は思ってます。
ちなみに珍しい例もある!
- 3Dでキャラクターを作り続けてきた人はキャラクターを上手く描ける素質がある
- ロボットとか機械が好きでプラモとか作ってきた人はメカが上手く描ける素質がある
- カメラで写真を撮るのが趣味の人は構図の上手い絵が描ける素質がある
といった具合に逆に絵は描いてきてなくて手法は違えど読み取りや作ることをしてる人は絵の練習をすればすぐ上手くなる例もあったりします。
デッサンをすれば絵は上手くなる?
練習した対象は上達するけども…
ちなみにデッサンが上手いと普通に絵も上手そうに思えますが、その認識は少し違うなって思います。
デッサンする対象によって読み取れるもの、習得できることは違ってて、美大藝大で描くようなデッサンは上手いのに萌え絵はまったく描けないのがいい例で、逆にそういう人達はリアリティが要求されるおっさんとかクリーチャーや背景が得意だったりします。
例えば、
- 実物の静物を見て描いてきた人は小物を描くのに必要な能力が身につく
- 実物の石膏を見て描いてきた人は造形物を描くのに必要な能力が身につく
- 実物の人物を見て描いてきた人はキャラを描くのに必要な能力が身につく
- イラストを見て描いてきた人は萌え絵やアニメ絵を描くのに必要な能力が身につく
といった具合です。実際こんな単純じゃないけどざっくり例えるとこんな感じ
これはいままで「インプットしたものをアウトプットする行為」を何に対してしてきたかの違いでしかないと思います。
ただどちらも「インプットしてアウトプットするという行為」をやっているので「よく見る、観察する」と「思い描いた通り描くこと」によって蓄積された能力や知識があるので、ある程度上手い、素養があるのは間違いないと思います。
ただその時点でインプットしてないもの、知らないものを描くときはレベルが下がるのも間違いない。
例えるならスポーツで培った身体能力は他の競技でもある程度通用するけど得手不得手によっては素人並になることもある感じで、プロのサッカー選手が野球でも同じように活躍できるか?って言われたら疑問持つのと一緒で絵でも同じだと思います。
藝大目指して体系的なデッサンを描き続けた結果…
いやね…結論から言うと
めっちゃ効果はあったよ?
デッサンと聞いて連想するのが学校の教室でみんなで同じモチーフを囲んで何時間もずっと描くような体系的なデッサンじゃないかと思いんだけど。学校の授業でやるようなアカデミックな美術みたいな感じ
まぁ大体合ってる。
しかもモチーフが円柱とかりんごとか縄とか退屈極まりないものだったり、興味もない石膏像描かされたりすると思うんですが自分が藝大目指して予備校で描いた体系的なデッサンによって何を得られたか書こうと思います。
絵を客観的に見る意識が身につく
夢に出てくるレベルで言われます。
離れてみろ…
比較しろ…
もっとモチーフを観察しろ…
そしたら嫌でも意識が身につくよね?
複数人で同じモチーフを描くので並べたときに同じモチーフを描いた絵が並び比較されます。
いやダァああああ!!
なんか俺の絵がおかしいぃぃぃいっぃ!
嫌でも客観的に見る意識が身につくよね?
比較することで描いていたときには気付かなかった部分が見えてきて、これを繰り返すことで1人でも自分の絵を客観的に見る意識が芽生えてきました。今の時代だったらSNS上に絵を上げてたら嫌でもで身につく意識だと思うけど
単純に描く力が上達する
絵が上手くならざるを得ない環境…。
なぜなら!
予備校に卒業という概念はない!
これは予備校の性質だと思うんですが学校みたいに何年通えば卒業、というものではなく大学に合格できるラインに達しないと抜けることができないので通い続ける限りは強制的に上手くならざるを得ない環境。
まさに地獄。
もうね、上手くならないと抜け出せないから必死よ!
上手い人が多い環境だったので必然的に上手い人の思考、進め方、描き方を真似せざるを得ない。
これで単純に描き方やモノの見方、描く必要がある部分、描く必要がない部分、進め方といった具合に描くものをどう処理するか判断して上手い人のいるレベルまで引き上げることができました。
Youtubeでメイキング出してる人を探して、自分の描き方、進め方、考え方と比較検討して反省点を洗い出して反復すれば同じように身につきそう
飽きずに絵を描き続ける体力
この当時はね?
今はもう無理。
例えば藝大の実技の場合は一次でデッサンを休憩含め7時間続けて描くんですが、予備校では大体5〜6時間、試験が近づくと本番と同じ時間で描いてました。
素人で初心者だった頃は絵を5時間も6時間も描くなんて正気じゃないと思ってましたがそれが当たり前の環境で描き続けてたらそれが当たり前だと思える感覚と集中力が身につきました。
時間配分の意識がつく
時間内にバランスよく進めてまとめる時間配分の意識が身につきました。これも素人で初心者だった頃は時間内に終わらず途中で終わることが多々ありましたが、5分でも1時間でも6時間でも与えられた時間の中でいかにバランスよく進めるか、時間に対する感覚を体で覚えました。
俺は絵を描き始めた初心者の頃に外部要因でこれらの意識を矯正できたのは大きかったなぁと思います。
ぶっちゃけ仕事を始めたら変態みたいなプロ意識を持った人達はゴロゴロいるけど予備校も目的意識が高くレベルの高いが多いので早い段階でそういった環境に身を置ける。
デッサンが必要ないと思ったわけ
長くなってきたから後日別の記事で書きます|д゚)
続きを書きました。
まとめ
ここまでデッサンの有用性しか書いてないと思いつつ・・・
武井壮が出てた大人を育てる教室って番組ですごく腑に落ちることを言ってて…。
子供の頃に友達と野球をして遊んで自分ではプロ野球選手の真似をしてピッチングしてたつもりだけどビデオで撮影したものを見たら自分が思ってた動きと全然違かった、他にも両腕を水平に上げてるつもりだけど鏡を見たら全然違かったことに気づいて、まずはスポーツをする前に自分の認識した通りに身体が身体が動くように訓練したと、(細かいニュアンスは違うかもしれないけど大体そんな話だった)このスポーツを始める前にまず自分の身体を自分が認識した通りに自由に使えるようにすることとデッサンの役割は同じじゃないかなと思いました。
絵を描き始めたばかりの人やこれから描きたいと思ってる人、なんのためにデッサンするのか疑問に思ってる人や考えたことがある人の参考になったら幸いです。
意識高そうなこと言ったけど大体できてない…
神絵師に読まれたら赤面して死ぬ!┗(^o^)┓三(おわり)
アトリエのドローイング : 古典に学ぶリアリズム絵画の基本技法 -ハードカバー-
俺の場合は美術予備校で培ったけど、西洋デッサンの意識や考え方はこの本が参考になるよ
▼逆の「必要ないと思う」立場でも考えたので興味あったらどうぞ!▼
あわせて読みたい
デッサンを初心者が重視すべきでないと思う理由を経験者目線で話すよ
こんにちは。他の記事を含めとても参考になりました。
五年以上独学で描いてましたが最近月二回絵画教室に通い、描かざる負えない状況にしてから観察力がつきサボり癖が減りました。
記事を読んで納得、発見がありました。ありがとうございます。
ばたふらいさんこんにちは!
役に立ててよかったです!
今日美術予備校に初めて行き、本番に行けず明日講評です。
講評の時精神的に耐える方法を教えてください
ちゃがしさんこんにちは!
これはみんなが通る道ですね…自分が全然出来ないことが恥ずかしくて最初の頃は講評終わった瞬間に帰ってたことを思い出しました…。
正直いい方法は浮かばないんですけど、途中で逃げたりサボったりしなければ必ず上達する環境に身を置いてるので「ちゃんと美術予備校に行って講評を聞く」っていうことだけはしてほしいです。
徐々に見える景色が変わってきます…!