こんにちは、さだぢです。
絵が上達するための練習方法の一つとして「模写」ってやり方があると思うんですが、これが曲者で「ただ見たまま描く」だけだと経験値として効果が薄かったりするんですよね…。
いざ自分の絵を描くと模写する前と変わってなかったりして「あれ?模写って効果あんの?」って思うこともあるけど、初心者でも上級者でも絵が上達する再現性の高い練習方法だと思ってます。
ちなみに俺自身はリアリティーのある絵が上手くなりたくて絵画をよく模写してました。
例えば光の表現がめっちゃ上手いレンブラントって画家の絵とか、自画像がめっちゃ上手いマリーガブリエルカペって女画家とか…。
模写のコツを知りたい人に向けて、美術系として培った経験から模写で意識するポイントを考えてみたのでよかったら参考にしてください。
模写とは違う作品が見たかったらギャラリーから見れるよ
目次
模写は「見て描く」んじゃなくて「読み取って理屈で組み立てる」
「目」で認識した情報をそのまま描いた絵って「色写し」「形写し」だけで終わりがちで、得られる経験値がかなり少ない。
模写全般を通しておすすめの意識すべき点は…
- 「どういう手順で描いてるのか分析してから描く」
- 「大体でいいので比較で覚える」
- 「元絵と模写絵の違いを探して直す」
- 「答え合わせと復習のつもりで反復する」
この4つが今まで模写をしてきた経験で出た結論で、絵が上達する究極の極意だと思ってます。
総じて言えるのが「見たまま描く」んじゃなくて「理屈で理解して描く」こと。
どうやって描いてるかを知ってから描くと全然違う
模写する上で元絵がどうやって描かれてるのか、描き方の手順を知るのがすごく大事。
描き方が分からないとイメージが湧かないし理屈で組み立てて描くのが難しいので、まず最初に動画を探すこと。
例えばアニメ絵ならアニメ絵、厚塗りなら厚塗りといった具合に描こうとしてる絵の種類のメイキング動画を見るのはかなり有効。
ちなみに「模写」する絵は自分が目指す絵柄を選ぶのが一番いい。
【キャラ絵のイラストメイキング動画】
【背景絵のイラストメイキング動画】
最初の動画を選ぶコツとしては「自分より少し上手い人の動画」がおすすめで、描き方や進め方がイメージできる絵から見始めて徐々にレベルを上げていくと挫折しにくいし、描き方をイメージしやすい。
「比較」して覚えることは効果的
絵が上手い人は色んな「比較」をしてます。
簡単な例を挙げると…
- 手の大きさは顎から額ぐらい
- 人の肩幅は顔3つ分くらい
- 人肌の影の色は栗よりも暗くなることもある
- 人肌の明るい部分でも牛乳より明るくなったらやりすぎ
みたいな感じで模写を理屈で描くにはこういった色んなモノと「比較」をしながら違いを知ることが大事。
例えば目を描いた場合、比較することによって得た「目の位置は大体頭部の1/2くらい」っていう知識があれば後から気付いて直せるし、逆に「目の位置が大体頭部の1/2くらい」っていうことを知らなければ違和感があっても直せない。
色んな比率を基準として覚えておけば「少し子供っぽくしたいから目の位置を頭部の1/2より下に下げよう」「顔長にしたいから目の位置を頭部の1/2より上に上げよう」みたいな感じで応用が効く。
こういった知識は色んな本やサイトでも教えてるけど、自力で実際にいろんなものを比較して覚えるクセをつければ何にでも対応する力が身に付く。
で、模写するときに比較しながら描くと理解しながら描けるので得られる経験値も大きい。
「目」を例に出したけど描く上でわからない部分、疑問に思う部分は全部比較して覚えるくらいの勢い。
比較できる要素は「線」や「図形」だけではなく「空間」「立体」「構造」など色々ある。
「空間」「立体」「構造」の感覚を身に付けるには訓練が必要だから最初は難しいけど「二次元の絵の中に三次元の空間が広がってるんだ」ってことをなんとなくでいいから意識すると結構違う。
ちなみに人物の資料に関しては「やさしい人物画」が初心者向けだし、立体的に人体を認識したいなら「スカルプターのための美術解剖学」がおすすめ。
スカルプターのための美術解剖学 -Anatomy For Sculptors日本語版-
模写は「修正」を前提にして描くこと
ここまで描く前段階について説明したけど、描く手順の流れのイメージはこんな感じ。
- 読み取った内容を元に描く
- 元絵と比較して修正する
- 修正を元に①に戻る
色々読み取ってから描き、それを答え合わせする感覚で描く。
ポイントは比較して発見した違いを修正することなんだけど、これを怠ると絶対上手くならない。
比較すると色んな気付きがあって、その気付きが正しいかどうか検証するために修正して結果として元絵に近づいていくのが理想で、機械みたいにトレースすることが目的じゃない。
基本的にもう無理…ってところまで描くのが一番レベルアップする。
繰り返し模写するのは割とおすすめの練習
- 最初に描き方をイメージして、比率を覚えて、修正しながら描き上げる
これが今までの工程で、そこに以下のやり方を加える。
- 模写を元に見ないで理屈で描いてみる
コレを反復することで自分の中に定着させることができます。
理屈で描くとは何か?って言うのを自分の模写を例に挙げると…
- とりあえず白黒でなんとなくの形を取ろう
- そこから陰影をイメージしながら形を探ろう
- 元絵に近い印象の色を加えよう
- 使ったブラシでタッチを再現しよう
- 検証した比率を元に細部を描き込もう
これを詰めていくイメージ
ていうのを一度模写した記憶を頼りにしながら描き、ギブアップした時点で元絵と比較して違いを記録する。
似せるのが目的じゃなくて「理屈」で描くのは模写した絵から読み取った要素を元に再構築して描けるか、模写で描き方やポイントを読み取ったかを試すのが目的で何を理解できて何を理解できてないかが浮き彫りになるので結構な訓練になる。
理屈で描くコツは気付いたことや自分の中での些細なことでもいいのでポイントを「言語化すること」で、毎回メモしておくと精度も上がるのでおすすめ。
まとめ
- 描き方を知ること
(メイキング動画が有効) - 比率を覚える
(図形的にではなく立体的に) - 修正を前提に描く
(気付きを検証する作業) - 反復する
(答え合わせする感覚)
模写を描く上で数をこなすのも大事だけど、個人的には「答え合わせ」や「復習」する感覚で模写する方が効果が高いかなぁと思ってます。
よかったら参考にしてみてください。
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絵が上手くなる方法で「描く練習」以外にあるコツをガチ勢が教える
こんにちは。絵描き歴8ヶ月の者です。
いつもブログで勉強させて頂いてます。
突然ですが、模写について質問させて下さい。
模写は漫然とやっても意味がない、比率やシルエットなど、考えながらやらなけらばならないという事を様々な場所で目にします。
僕は普段模写をするとき、定規を使って同じ位置に描くようにしています。
例えば、頭頂部は紙の上から何センチ、顎は何センチ、腰は下から何センチ、などといった風に線の位置を定規で測っています。
しかし、このやり方では半ばトレースのようで、意味が無い気がしています。
かといって、定規なしでは大きさや正確な比率が分からず、適当に描いているようで、無意味な模写をしている気がしてしまいます。
絵を描くときの比率やシルエットというのは、定規を使ってでも正確な位置で描くべきでしょうか?
それとも目測で同じ比率や位置になるまで描いて練習するものなのでしょうか?
ご意見を聞かせて頂けたら幸いです。
そりさんこんにちは!
テキストだけで説明するの難しいですね…(笑)
定規で何センチという測り方は空間やパースといった要素が絡んでくるのでオススメはしないですが、比率を測るガイドとして活用することは全然アリだと思います。
ただ訓練を目的とする場合はなるべく目測でやった方が練習になります!
こんにちは
ぼくは将来的に厚塗りイラストを描きたいと思い今人の書き方を練習しています。
人の描き方で調べると骨人形があったり円柱や箱を組み合わせてみようと多くのサイトで言われているので模写をする時も円柱を組み合わせてポーズを書いていました。
ですが厚塗り系のメイキング動画だとかなりフィーリングで書いているように見えます。
模写する時って円柱組み合わせるより大体の形とって徐々に削り出していく感じで書いた方がいいのですか?それともそういうのはある程度いろんなポーズをサラっとかけるようになってからするべきものなんですか?
初心者質問ですがもしよければ教えてください。
みらへさんこんにちは!
一つの絵から全部を吸収しようとすると散漫になるので模写するときはあらかじめ構造なら構造、色なら色、動きなら動き、と要素を分けて意識した方が理解しやすいですよ。
円柱や箱の組み合わせというのは人体の構造を分かりやすく単純化して理解するための方法の一つであって安定感のある手法であることは間違いないと思います。(本当にフィーリングで描いてる人もいますが、描き慣れてる人はそこをすっ飛ばしてやりやすい方法で進めることが出来るのでフィーリングで描いてるように見えることもある)
みらへさんが見てる厚塗り系のメイキング動画はおそらく作業工程を録画してるだけなので「メイキング」ではなく「解説」を目的とした動画を探すといいかなぁと。(言葉が分からなくても海外の動画はおすすめ)