こんにちは、さだぢです。
プロのデジタルアーティストとして活動してます。
自分のメインツールは液タブではなく板タブではあるものの、2D3D両方の業務経験がありグラフィック作業に対する造詣と要点も理解がある立場から主要ペンタブメーカーを比較。
悩んでる人の参考になれば。
【作業環境】
【作品】
目次
液タブの前提知識
「液タブ」は液晶タブレットの略で液晶に直接描くことが出来る道具。
ただ「液タブ」は基本的には単体で使うことが出来ず「パソコン」「モニター」「ペイントソフト」も合わせて用意する必要がある。
液タブの要素
全体的な傾向として液タブはサイズが大きくなるほど性能が上がり、新しいモデルほどコスパが高いという認識を持つと全体像を把握しやすい。
制作する上でのポイントを整理するとこんな感じ。
- サイズ…11.6、13.3、15.6、21.5インチ
- 解像度…フルHD、WHD、4K
- 色域…再現出来る色の幅
- 視差…ペンと液晶の距離差やズレ
- 筆圧レベル…筆圧の正確さ
- 応答速度…遅延やラグを表す数値
- 液晶パネル…色の再現性や視野角に関わる
- ショートカット…作業効率に影響
解説すると以下の通り。(※タップ or クリックで開く)
「Wacom」「GAOMON」「XP-Pen」「HUION」を比較
ペンタブの主要メーカーは以下の4社で、Wacomが国内製で他3社は全て海外製。
- Wacom…最大手で唯一最上位モデルを取り扱ってる
- GAOMON…板タブは微妙だが液タブは価格も性能も優秀
- XP-Pen…種類も豊富で板タブ・液タブ両方コスパに長ける
- HUION…海外製ながら他の2社に一歩劣る印象
表でカタログスペックを比較。
「11.6インチ」で選ぶなら「GAOMON」か「XP-Pen」
各メーカーの11.6インチの最新モデルで比較。
※スマホは左右にスクロール
企業名 | Wacom | GAOMON | XP-Pen | HUION |
商品名 | PD1161 | Artist 12 Pro | Kamvas Pro12 | |
価格(Amazon) | 21,999円 | 25,330円 | 27,999円 | |
サイズ | 11.6インチ | 11.6インチ | 13.3インチ | |
解像度 | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) |
|
色域 | 72%(NTSC) | 72%(NTSC) | 92%(AdobeRGB) | |
視差 | 中 | 中 | 中 | |
筆圧感度 | 8192 | 8192 | 8192 | |
応答速度 | 25ms | 14ms | 266PPS | |
液晶パネル | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 | |
読み取り高さ | 10mm | 10mm | 10mm | |
傾き検知 | 60° | 60° | 60° | |
接続端子 | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル | |
電源 | 必要 | PCで給電可能 | 必要 | |
ショートカット | 8 | 8+ホイール | 4 | |
スタンドの有無 | × | 〇 | 〇 | |
備考 |
【Wacom】
Wacomは11.6インチが無いので省略。
【GAOMON】
GAOMONのPD1161は11.6インチの中で最も安くコスパが高いもののスタントは付属してないので注意。
【XP-Pen】
XP-Penの「Artist 12 Pro」は「PD1161」に価格面で劣るものの、応答速度が速く、ショートカット数が多く、PCから直接給電出来るので電源を必要としない。
【HUION】
HUIONの「Kamvas Pro16」のAmazon販売ページにAdobeRGB 92%と書かれていて一見広い色域に対応してそうですが、調べた結果おそらく「カバー率」ではなく「比」で公式サイトで確認したところsRGB120%なので実際はもっと低い。
- 値段で選ぶならGAOMONの「PD1161」
- 性能で選ぶならXP-Penの「Artist 12 Pro」
「13.3インチ」で選ぶなら「XP-Pen」か「Wacom」
各メーカーの13.3インチの最新モデルで比較。
※スマホは左右にスクロール
企業名 | Wacom | GAOMON | XP-Pen | HUION |
商品名 | Wacom one | Artist 13.3 Pro | Kamvas Pro13 | |
価格(Amazon) | 39,800円 | 34,980円 | 37,230円 | |
サイズ | 13.3インチ | 13.3インチ | 13.3インチ | |
解像度 | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) |
|
色域 | 72%(NTSC) | 88%(NTSC) 120%(sRGB) | 92%(AdobeRGB) | |
視差 | 中 | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) |
|
筆圧感度 | 4096 | 8192 | 8192 | |
応答速度 | 26ms | 14ms | 266PPS | |
液晶パネル | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 | |
読み取り高さ | 8mm | 10mm | 10mm | |
傾き検知 | 60° | 60° | 60° | |
接続端子 | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル |
|
電源 | 必要 | PCで給電可能 | 必要 | |
ショートカット | 0 | 8+ホイール | 4 | |
スタンドの有無 | 〇(内蔵式) | 〇 | × | |
備考 | スマホ対応 |
【Wacom】(ミドルモデル)
Wacomの液タブにはハイエンドモデルの「Cintiq Pro」とミドルモデルの「Cintiq」の2種類があり、今回新しく追加されたのが「Wacom One」という入門モデルで「Wacom One」は他と比較するとカタログスペックでは劣るものの、大きな特徴としてAndroidスマホで唯一使える液タブ。(動作確認済み機種一覧)
【GAOMON】
GAOMONは13.3インチが無いので省略。
【XP-Pen】
XP-Penの「Artist 13.3 Pro」は同程度の13.3インチの液タブの中で最もコスパで優れていて、応答速度も速く、ショートカット数も多く、PCから直接給電出来るので電源を必要としない。
【HUION】
HUIONの「Kamvas Pro16」のAmazon販売ページにAdobeRGB 92%と書かれていて一見広い色域に対応してそうですが、調べた結果おそらく「カバー率」ではなく「比」で公式サイトで確認したところsRGB120%なので実際はもっと低い。(2回目)
- 13.3インチの液タブをコスパで選ぶならXP-PENの「Artist 13.3 Pro」
- スペックは低いもののAndroidスマホで使いたいなら「Wacom One」
「15.6インチ」で選ぶなら「GAOMON」
各メーカーの15.6インチの最新モデルで比較。
※スマホは左右にスクロール
企業名 | Wacom | GAOMON | XP-Pen | HUION |
商品名 | Cintiq 16 | PD156 PRO | Artist 15.6 Pro | Kamvas Pro16 |
価格(Amazon) | 66,420円 | 39,999円 | 44,828円 | 39,800円 |
サイズ | 15.6インチ | 15.6インチ | 15.6インチ | 15.6インチ |
解像度 | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) |
色域 | 72%(NTSC) 96%(sRGB) | 88%(NTSC) | 88%(NTSC) 120%(sRGB) | 92%(AdobeRGB) |
視差 | 中 | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) |
筆圧感度 | 8192 | 8192 | 8192 | 8192 |
応答速度 | 25ms | 25ms | ≧200RPS | 266PPS |
液晶パネル | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 |
読み取り高さ | 5mm | 10mm | 10mm | 10mm |
傾き検知 | 60° | 60° | 60° | 60° |
接続端子 | 3in1ケーブル | 2in1ケーブル | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル |
電源 | 必要 | PCで給電可能 | PCで給電可能 | 必要 |
ショートカット | 0 | 10+ホイール | 8+ホイール | 6 |
スタンドの有無 | 〇(内蔵式) | 〇 | 〇 | × |
備考 |
【Wacom】(ミドルモデル)
Wacomの液タブにはハイエンドモデルの「Cintiq Pro」とミドルモデルの「Cintiq」の2種類があり、「Cintiq 16」はミドルモデルで価格に対してのカタログスペックで他と比較すると特に選ぶ理由が無いのが現状。
【GAOMON】
GAOMONの「PD156 PRO」は同程度の15.6インチの液タブの中で最もコスパで優れていて、ショートカット数が多く、必要な接続端子が他より1つ少なく、PCから直接給電出来るので電源を必要としない。
【XP-Pen】
XP-Penの「Artist 15.6 Pro」も悪くはないもののGAOMONの「PD156 PRO」との比べると同じ性能なので値段差で劣る。
【HUION】
HUIONの「Kamvas Pro16」のAmazon販売ページにAdobeRGB 92%と書かれていて一見広い色域に対応してそうですが、調べた結果おそらく「カバー率」ではなく「比」で公式サイトで確認したところsRGB120%なので実際はもっと低い。(3回目)
- 15.6インチの液タブをコスパで選ぶならGAOMONの「PD156 PRO」
「21.5インチ」で選ぶなら「GAOMON」
各メーカーの21.5インチの最新モデルで比較。
※スマホは左右にスクロール
企業名 | Wacom | GAOMON | XP-Pen | HUION |
商品名 | Cintiq 22 | PD2200 | Artist 22R Pro | Kamvas Pro22 |
価格(Amazon) | 104,100円 | 43,999円 | 78,500円 | 79,999円 |
サイズ | 21.5インチ | 21.5インチ | 21.5インチ | 21.5インチ |
解像度 | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) | フルHD (1920×1080) |
色域 | 72%(AdobeRGBカバー率) | 92%(NTSC) | 90%(AdobeRGBカバー率) | 120%(sRGB) |
視差 | 小 | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) |
筆圧感度 | 8192 | 8192 | 8192 | 8192 |
応答速度 | 14ms | 25ms | 14ms | 8ms |
液晶パネル | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 |
読み取り高さ | 5mm | 10mm | 10mm | 10mm |
傾き検知 | 40° | 60° | 60° | 60° |
接続端子 | HDMI、USB、電源 | HDMI、USB、電源 | HDMI、TypeC、電源 | HDMI、USB、電源 |
電源 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
ショートカット | 0 | 8タッチキー | 20+2ホイール | 20 |
スタンドの有無 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
備考 |
【Wacom】(ミドルモデル)
価格、性能ともに他と比較しても選ぶ理由は特にない。
【GAOMON】
GAOMONの「PD2200」は他と比べて半額近く安い上に色域も特に広く最もコスパに優れているものの応答速度は標準値の25ms。
【XP-Pen】
XP-Penの「Artist 22R Pro」は全体的に高水準ではあるものの「PD2200」に比べて倍近い価格。
【HUION】
HUIONの「Kamvas Pro22」は応答速度が最も早いものの、色域はこのサイズでは優れてるとは言い難く「PD2200」に比べて倍近くする面でも劣る。
- 21.5インチの液タブをコスパで選ぶならGAOMONの「PD2200」
ハイエンドモデルとの違い…?
Wacomには廉価版のミドルモデル「Cintiq」と高価なハイエンドモデル「Cintiq Pro」が存在していて他との大きな違いは以下の通り。
- 解像度が4K対応(3840×2160)
- タッチ機能の搭載
- 広色域(最大AdobeRGBカバー率99%)
※スマホは左右にスクロール
企業名 | Wacom | Wacom | Wacom | Wacom |
商品名 | Cintiq 13 Pro | Cintiq 16 Pro | Cintiq 24 Pro | Cintiq 32 Pro |
価格(Amazon) | 89,800円 | 148,580円 | 229,527円 | 368,368円 |
サイズ | 13.3インチ | 15.6インチ | 23.6インチ | 31.5インチ |
解像度 | フルHD (1920×1080) | 4K (3840×2160) | 4K (3840×2160) | 4K (3840×2160) |
色域 | 87%(AdobeRGBカバー率) | 90%(AdobeRGBカバー率) | 99%(AdobeRGBカバー率) | 98%(AdobeRGBカバー率) |
視差 | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) | 小 (フルラミネート) |
筆圧感度 | 8192 | 8192 | 8192 | 8192 |
応答速度 | 30ms | 25ms | 14ms | 8ms |
液晶パネル | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 | IPS方式 |
読み取り高さ | 5mm | 5mm | 5mm | 5mm |
傾き検知 | 40° | 60° | 60° | 60° |
接続端子 | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル | 3in1ケーブル |
電源 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
ショートカット | タッチ操作 | タッチ操作 | タッチ操作 | タッチ操作 |
スタンドの有無 | 〇(内蔵式) | 〇(内蔵式) | 〇(内蔵式) | 〇 |
備考 | 専用デバイス付属 | 専用デバイス付属 |
【Cintiq Pro 13】
唯一のフルHDで、応答速度もほぼ全ての液タブに劣っていて、唯一優れてるのが色域の広さ。
【Cintiq Pro 16】
解像度がこのサイズから4Kになり、色域も広いものの、それ以外の性能は海外製と差は無い。
【Cintiq Pro 24】
専用のデバイスが付属していて、応答速度、解像度、色域の広さに優れAdobeRGBカバー率が脅威の99%。
【Cintiq Pro 32】
最大級の大きさ、応答速度、解像度、色域の広さに加え専用のデバイスとスタンドが付属するものの価格も最大級。
- 「Cintiq Pro」の中で最も価格性能比に優れるのは「Cintiq Pro 24」
用途で考える
【11.6インチ】
価格帯は22,000~28,000円前後。
スペックは悪くない上に安いものの、全体的に視差があり色域の幅も広くないので「導入モデル」「サブ」「持ち運び」向け。
【13.3インチ】
価格帯は35,000~40,000円前後。
Androidスマホに唯一対応した液タブの「Wacom one」があるので「スマホで描きたい人」「大きな作業スペースを確保出来ないけど丁度いいサイズ感で安くてある程度のスペックで欲しい人」向け。
【15.6インチ】
価格帯は40,000~66,000円前後。
価格と性能面でのコスパがもっと高く、使い勝手も良く万人向け。
【21.5インチ】
価格帯は44,000~104,000円前後。
性能自体は15.6インチと差はないものの全体的に一番色域の幅が広いモデルなので「予算は出せないけど大きい画面でグラフィック作業したいプロ」向けで専用の作業スペースも必要。(残念ながらこのサイズはPCから直接給電出来るモデルが無い)
【ハイエイドモデル】
価格帯は90,000~370,000円前後。
ハイエンドモデルの「Cintiq Pro」はプロ向けではあるものの、「Wacom Cintiq Pro 13」「Wacom Cintiq Pro 16」では真価を発揮出来ないのでプロユースとして買うのであれば優れた性能を持つ「Wacom Cintiq Pro 24」。
- 【11.6インチ】…導入モデル、サブ用、持ち運び向け
- 【13.3インチ】…11.6インチより性能に優れ、コンパクト
- 【15.6インチ】…コスパに優れ、使い勝手良く万能
- 【21.5インチ】…大きい画面でグラフィック作業したい人向け
- 【ハイエイドモデル】最も優れたスペック(※ただしPro24とPro32に限る)
まとめ
ここまでの内容をまとめるとこんな感じ。
【11.6インチ】…予算20,000~30,000円
- 値段で選ぶならGAOMONの「PD1161」
- 性能で選ぶならXP-Penの「Artist 12 Pro」
- 「導入モデル」「サブ」「持ち運び用」
【13.3インチ】予算35,000~40,000円
- コスパに優れるXP-Penの「Artist 13.3 Pro」
- Androidスマホで使いたいならWacomの「Wacom one」
- 「コンパクトで性能十分」
【15.6インチ】予算40,000~50,000円
- コスパに優れるGAOMONの「PD156 PRO」
- 「価格性能比、使い勝手、共に万能なサイズ感」
【21.5インチ】予算45,000~230,000円
- コスパで選ぶならGAOMONの「PD2200」
- 性能で選ぶなら「Cintiq Pro 24」(※23.6インチ)
- 「最大級のサイズ」「最もスペックが高いモデル」
参考になれば幸いです。
合わせて読みたい
artist 22 R Proの説明、1世代前のEとか?ではないでしょうか!
充電なしだし、色域もargb90のはずです。
ろぜさんこんにちは!
今見たら確かに1世代前っぽかったです…教えて頂いてありがとうございます、修正しました!
初めまして。とても分かりやすい解説で何度も読ませていただいています。
コスパから見てGAOMONがおすすめなのは分かったのですが、視差に関してはXP-PENがいいという意見もよく目にします。また、最近Amazonで高評価なArtisul(アーティスル)も候補に入れていて、ぜひさだぢさんのご意見を伺いたいです。
なかなか決められなくてずっと悩んでいます。お忙しいところ申し訳ないのですが、お返事いただけたら幸いです。
たなみさんこんにちは!
参考にして頂きありがとうございます!
個人的にはXP-Penが好みですが調べてみたらArtisulもいいですね!
何インチの液タブを検討してるのか聞かないと適切なアドバイスは出来ないですが、初めて買うのであれば新しいモデルであればどの液タブを買っても満足を得られる性能をしてるかと思います。
なので自分が作業する環境に適したサイズと予算を判断基準として選ぶといいかなぁと。(記事でもその辺について言及してるので判断材料にしてもらえれば!)
お返事が遅くなりすみません。
ご丁寧にありがとうございます。
悩んでるうちに先日発売されたxp-penの24proを思わずポチってしまいました…。15.6インチと21.5インチで悩んでいたので自分でも予想外なとこに行きました。
まだ日本でのレビューもないし、大きすぎたかなとか、これフルラミネーションじゃない!?とか、2Kでの映像出力がうちのノーパソで出来るのかとか、悶々と到着を待っている次第です。GAOMONのPD2200がかなり気になってたので、後悔しないかちょっと心配です。